Thief GOLD レビュー

お勧め度:PCユーザーなら一度はプレイしてほしい
ハマり度:尋常ではない


 ころびやがPCゲームにハマるきっかけを作ったThiefシリーズの1つ。この面白さはただ事ではない。元々は1998年にThief ;The Dark Projectとして発売されたので、これは98年のゲームといえます。98年といえばバイオハザード2が発売された年だといえば大体ピンとくるでしょう。

 それまでPCゲームでは多くの一人称視点のシューティングが売り出され、ヒットを飛ばしてきました。日本でも有名な「DOOM」に見られるように海外、とくにアメリカ人は一人称視点でバリバリ敵を倒すゲームを好んでいました。ゲーム画面だけをみるとThiefはそれに良く似ています。しかしこのゲームの目的はバリバリ敵を倒すのではなくてバリバリお宝を盗む事なので、敵は倒しても倒さなくてもいいのです。その辺は自由であり、プレイヤーのスタイルに任されています。

 主人公Garrett(読:ガレット、ギャレット)は泥棒という職業柄、あまり強くありません。というか、戦闘態勢で盗みに入ったら動きにくいわ目立つわ物持てないわで大変です。ということでガレットはさほど強くないので敵を全て倒すには向いてません。敵を倒すには敵と接近しなくてはいけないですから、それだけでもリスクが大きいのです。そのリスクを回避できる腕が自分にあるのなら、敵の一瞬の隙をついて倒すことが出来る腕があるのなら、敵を倒して進むことも可能なわけです。


姿を隠して行動するという特技を生かせば、尾行もお手の物である
 もし、敵を倒すだけの自信が無かったり敵の数が多すぎて攻め込むには分が悪い場合には上手く隠れて敵をやり過ごすのが最も良いでしょう。ガレットには暗闇で気配を消すという素晴らしい能力があります。暗闇でしゃがんでじっとしていれば触れてしまうくらい敵が接近してもこちらに気づくことなく通り過ぎてしまうでしょう。ゲーム中はこの「暗闇に潜むこと」がもっとも重要なアクションとなります。闇から闇へと身を潜めながらお宝を集めていくのがこのゲームの目的です。

 泥棒的潜入のスリルを引き立てる最大の要素が、敵や一般人のAIです。守衛や住人はそれぞれ警護や仕事をしていたり、寝ていたりしています。中には仲間と雑談や話し合いをしている人もいるでしょう。もしプレイヤーが足音等の物音をたててしまったら彼らは不信がって音が出たあたりを用心深く調べだします。またその足音がごく小さなものであった場合は警戒こそしませんが、「ハロー?ハロー?」などと確認することもあります。逆に高々と足音を立てて走っている場合はすぐさまこちらの存在がばれてしまい、こちらの姿を確認することなく仲間を呼んでしまうことでしょう。

 敵に姿を見られた場合も様々なパターンがあります。ドアや出会い頭にいきなり接触してしまった場合、要するにプレイヤーも驚いてしまうようなシチュエーションで接触した場合は、敵も驚いて攻撃体勢に入るのが一瞬遅れます。普通に明るいところにつっ立っている所に敵が現れた場合も「あぁ!」とかいってちょっと驚くこともあります。(そりゃあ入った部屋にボーっと泥棒がつっ立ってりゃ驚くわな)
 敵と戦闘になった際、上手く攻めて敵を追い詰めることができても油断してはいけません。敵は逃げて仲間を呼びにいってしまい、その声を聞いた他の敵はぞろぞろと集まってきます。そこまで来なかったとしても警戒を強化してしまっていることでしょう。(ころびやは一度この仲間呼びで酷い目にあったことがあります。あれは辛かったー)

 上手く敵を逃がさず倒せたとしても敵の体をそのままにしてはおけません。誰かに発見されると潜入していることがばれてしまうかもしれないからです。倒した敵の体を担いで目立たない場所に移動することでそれを回避できます。しかし殺してしまった場合は血痕は残ります。あまり目立たない場所ならいいのですが、明るい場所でしかも人の通り道ならやはりそれも警報を鳴らすなどされてしまう要因になります。場合によっては血痕も消しておく必要もあるのです。

 上記のような駆け引きが潜入をスリリングにし、泥棒稼業のシミュレーションをよりリアルなものにしています。

(6月28日)





このようなビンでさえ道具として利用することもできる
 敵から身を隠すアクションをさらに深いものにしてプレイヤーを引き込む要素として質感のある世界があります。フルポリゴンで表現された世界には木でできた床の部屋や石畳の廊下、大理石のホール等様々な材質の部屋があります。これらは全て違う性質の足音が鳴り、さらに歩き方でも足音の響き方が違ってきます。絨毯等ごく小さい音しかならない場所では走り回ることが出来ても、響きやすい床ではゆっくりと歩かなければ音が響いて姿を見られてなくても音を聞きつけた敵に不信がられ警戒されてしまいます。

 これはその他のオブジェクト(樹木・椅子・机・絵画等)にもいえることで、剣や棍棒でなぐると音がします。全てのもので音が鳴るわけではないのですが、周りに多くのオブジェクトがあるような環境では振った剣物にあたってしまい、自分も敵も思うように剣を振るったり矢を飛ばしたりできないのです。

 上記の要素は決して悪い方向にのみ働くわけではありません。響く床は当然敵の足音もよく響くので、敵の位置を把握しやすいという利点もあります。さらにわざと音を立てて敵をおびき寄せたりという使い方もあります。床が鳴らない場所ではオブジェクトを殴って音を立てればいいのです。そして剣を振るいにくい場所に逃げ込めば敵が剣を振るえないまま逃げおおせることも出来るでしょう。

 この世界は全てを利用できるようになっていて、何気ない花瓶も投げて敵の気を引いたり罠の解除に使うなどという使い方が出来るのです。特に遺跡の罠の前などは、これまでに罠にかかった人の白骨などが転がっている場合があるのでので怪しい所に投げ込んでみるなどという使い方も有効でしょう。


これが"それ"だ!思う存分うなされてくれ!!
 ThiefはEAXやA3Dに対応しています。これは3Dサウンドアクセラレータ(サウンド専門のCPU)によるサウンドの拡張規格で、前後左右だけでなく上下の音までリアルに表現できるものです。音が重要な位置を占めているThiefではこのあたりの力の入れ方は並じゃありません。音の響き方で自分がどのようなところにいるのかから、敵がどの方向にいるのか、どのくらいの距離なのかが感じ取ることができます。音の方向だけならDirectSoundのみでも表現することができますが、EAXは音の空間を作り出して独特の雰囲気をだしてくれるのです。

 このEAX・A3Dによる効果をころびやが最も効果的に感じ取ることができたのはゾンビがでてくるミッションです。バイオハザードでは全く怖くなかったゾンビがThiefではとんでもなく怖い存在になるとは思ってもみませんでした。EAXとホラーの相性がこれほどいいとは・・・ TVゲームでいくら主人公を怯えさせる出来事があってもプレイしている側はこわくないでしょ?でもEAXではすぐ後ろ、左の首もとのあたりから「ァアアァァ・・・!!!!!」って。ビビるよ。ホント。まだもっと怖かったのがありますが"それ"はここでは語らないでおこう。実際にプレイしてうなされてください。

 このゲームはEAX・A3Dでプレイするのを強くお勧めします。でもそれ活かそうと思ったらそれなりのスピーカーも用意しなければならなく結構な出費になってしまいますのでそれは財布とじっくり相談してから。
とにかく、敵から身を隠すこのゲームでは音による敵の発見は重要な攻略法の一つであり、ゲームを盛り上げる要素でもあるのです。(強引)

(6月29日)





とても4年前のものとは思えない
 次はグラフィックについての話に移ろうと思います。前にも述べましたがこのゲームは1998年のものですので、最新のゲームのそれに比べるとさほど圧倒的なものはないでしょう。通常の方法では解像度は最高で1024*768 16ビットという現在ではやや貧弱な感じですが、同じ98年に発売されたゲームと比べるとダントツに「美しい」のです。この「美しい」というのは3Dエンジンなどという基本的なものではなく、ポリゴンモデルの造形、テクスチャ画像、ライティングという実際の建築でも重要といえる部分で他と大きな差がでているのです。これがグラフィック全体の質を向上させているのでしょう。現在の3Dゲームと比べてもそれほど時間と技術によるハンデが感じられません。絵が汚くてプレイに支障をきたすなんでことは絶対に無いでしょう。

 一応ソフトウェアレンダリングにも対応しています。3Dアクセラレータを搭載していない昔のパソコンでも動くことは動くようになっています。しかしこれは恐ろしく絵が汚いです。いえ、ソフトウェアとしては綺麗なのでしょうか?まあどちらにしろ、2000年以降にパソコンを買った人ならスペックには何の心配も無いでしょう。(なげやり)

PentiumII 266MHz RAM 64MB CD10倍速(ギリギリ推奨環境) 3Dアクセラレータなしのノートパソコンでもプレイできました(解像度640x480)。一応ミッション1はクリアできました。でもミッション間の画面切り替えでもたついたり、処理落ちがあったりしましたが、プレイできる範囲です。PentiumII 300MHz以上で3Dアクセラレータがついているパソコンなら快適に遊べると思います。(7月4日追記)


 このゲームの悪かった点もあげておきます。ミッションによっては非常にマップが複雑で、盗んだり戦ったりしている時間より迷っている時間が長くなってしまう時が多くなってしまうということです。Thiefは広いマップをローディング無しで読み込めるという利点がありますが、その広いマップが災いしてか何がどこにあるのかわからなくなることが多いのです。さらには自分が何処にいるのかすら解らなくなってしまうくらいです。GOLDになって追加された新しいミッションはどれもやたら長くて大変でした。

(6月30日)




■ ちょっと使える(かもしれない)小技 ■

人型最速最強の「ホーント」の背後を取ることができれば君はもう最強だ
襲ってきた敵をノックアウト

 敵に発見されてしまったら一度完全に逃げ切るまで、後ろから殴っても気絶させることが出来ない。難易度が上がると「だれも殺してはならない」という条件までついてさらに厄介だ。ここでこの技が役に立つ。まずは暗いところまで逃げよう。完全に暗くなくてもOKだ。そしたら敵の背後を取ろう。そんなの無理!という人は↓の項目を見てください。で、背後をとったらブラックジャックでポカリと一発。気絶しなかったらもう一発。
 これで戦闘態勢バリバリの敵さんを気絶させることが出来ます。この技があれば何人敵がいても安心。でも弓矢のやつには通用しないから注意!

あざやかステップ

 ジャンプしながら移動すると早いというのは結構有名。これは当然歩行速度の遅くなる剣でも有効。でもジャンプしながら剣を振るうなんて無理というか逆効果。でも後ろに飛べば一気に間合いを広げることが出来る。慣れれば後ろに飛びながら剣を振るなんてこともできる。敵に攻撃をヒットさせた直後に間合いを広げようと↓を押しても速度は遅いし、斬撃の踏み込みの分時間が掛かる。でもジャンプすれば非常にすばやく後退できる。とっても便利。(でも間合いを詰めるときにつかっちゃだめだ。結構勢いがつくので攻撃どころではない)この技最大の弱点は後ろが見えないことだ。ジャンプした先が壁だったりしたらただの垂直ジャンプだし、崖だったら一気に死だ。この技は限られたもののみが使える自殺技荒技といえよう。

 攻撃がヒットした直後に後ろにジャンプすれば攻撃後のモーション中にも後退ができる。敵の空振りを狙って攻撃しても間合いを開くことが出来ずに反撃を食らうことがある。ヒットした直後に後方ジャンプをすれば攻撃のタイミングが遅くてもすばやく後退することができる。(7月4日追記)

背面取り

 意外と簡単だったりする。こちらに向かってくる敵のすぐ横を走り抜けるのだ。普通に走り抜けると振り向いている最中に敵も振り向いちゃうが、平行移動と旋回を組み合わせていけば簡単だ。敵の「向かって左側」を走り抜けるときは左平行移動をしながら右旋回しつつ前進するのだ。ちょうどドリフトのような感じになる。キーボードとマウスではちょっと難しいかもしれない。

前方覗き込み

 これはデフォルトでは「w + alt +shift」という組み合わせで出来るごく一般的な操作のひとつなのだが、偶然でも押さないような組み合わせのため知らないままクリアしてしまう人が多い。たしかに無くても解ける。でも結構使えるのだ。利点としては三つ。一つ、ブラックジャックのリーチが伸びること。二つ、普通なら手の届かない場所にあるお宝を入手できること。三つ、暗闇でなら正面からでも敵を気絶させられること。地味に使えるので使いやすいキーにバインドしておくのもいいかもしれない。

バージョン

 最後につかえるんだか使えないんだかわからんのを一つ。ゲーム中に「v + alt +shift」を押すとThiefのバージョンがわかる。それだけ。

(7月1日)
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