DEUS EX レビュー

お勧め度:アクションが得意でない人にもおすすめ
ハマり度:しゃがみ歩きが癖になる


 SoundBlasterに英語版がついてきたのがこのゲームとの出会いです。英語がわからないなりに面白く、ぜひもっと楽しみたいと日本語版を購入。どのくらい日本語になっているかというと、音声は英語でテキストは日本語と最も良いものとなっています。ゲーム中の会話は全てテキスト表示もされているので重要な情報も目で確認することができます。

 DeusExは米国では非常に人気があったらしく、Game of the yearというものにも選ばれていたらしい。マルチプレイ(インターネット対戦)を重視してきた他のゲームとは大きく違い、シングルプレイのみのゲームとなっています。後にマルチプレイにもパッチで対応しましたが、やはり「シングルプレイが面白いゲーム」という評価は「マルチプレイも面白いチーム」という評価にはならなかったみたいです。ちなみにころびやは一度もマルチプレイはやったことがないのでなんともいえません。でもCO-OPがあったらすんごく面白いと思います。

 このゲームは基本的にはThiefと同じステルスゲームというジャンルになるのかもしれません。しかしこのゲームは自由なプレイスタイルというのがウリで、正面から突っ込んで撃ちまくりというスタイルも一応可能です。一応というのは難易度Nomalまでだけだと思われるからです。Realsticでは一発頭に銃弾を受けたら即死です。ステルス重視で遊ぶ分にはスリルがあっていいのですが。


トレーニングの開始画面。多くの場合初めてのゲーム画面かも
 難しそうですが、大丈夫。ちゃんとこのゲームには練習がついています。実戦は一度(しかも超強いので倒すのは結構大変)だけですが、一通りやればゲームをプレイする上で必要な技術は最低限身につきます。トレーニングのクリア条件には実際のゲームより厳しいものもあるのでクリア経験のある人でも失敗することがあるかも。

 ゲーム中のミッションはほとんどが潜入ミッション。本業である警官として潜りこんだり、テロリストとして潜りこんだり、普通の見学者として潜り込んだりと様々。Thiefと似ていますが、大きく違うのはミッションごとに体力を始めアイテムや装備もそのままということ。効率の悪いプレイをしているとあとあとで厳しくなる可能性があります。でもよほど効率が悪くない限りそうはなりませんので肩の力は抜いていきましょう。

 潜入ミッションですので敵から身を隠すのは欠かせません。しかしDeusExの主人公コードネームJ.C DentonはThiefの主人公ガレットのように暗闇で身を隠すという技は持っていません。(もちろん完全な闇の中にいればかなり見つかりにくくなりますが、普通の影程度では普通に見つかってしまいます) しかしJ.CにはNano-Augmentationという特殊な力が備わっており、射撃・格闘・鍵開けといった各スキルを高めることができます。さらにそれはエネルギーを消費することにより非常に強力な能力も使うことができるのです。それらはF3〜F12までのキーに割り当てられており、いつでもその能力をON,OFFを切り替えて能力を発揮することができます。その能力はいくつかの中から選択しなければならなく、どれを選ぶかはプレイする人のスタイルで最良のものが決まってきます。

 どのような進め方をしても、こっそりと敵を倒さなければならない場面もあるでしょう。気絶させたにしろ、殺したにしろ、倒した敵の体は敵に発見されると面倒なことになるかもしれません。予定を狂わせないためにも目立つところにある場合、倒した敵の体は隠しておく必要があります。逆に敵の気をひくいい道具にもなるので、ほっておいてもいいことも多くあります。

 操作方法はThiefに良く似ていて、少々システムが違いますがThiefができたならすぐになじめるでしょう。逆にアクションバリバリのゲームに慣れきっている人は最初ちょっと違和感をかんじるかもしれませんがUnrealエンジン(3Dゲームのプログラムのひとつ)ということでiniをいじることで柔軟な操作設定が可能です。

(8月3日)





香港の運河。雰囲気が出ているのか出ていないのかわからない
 必要とされるPCのスペックが高い割には特別美しいグラフィックという印象をうけることはありません。テクスチャーのレベルは高いのですが、全体のモデリングが単調な印象を受けてしまうのが敗因でしょう。自由度の高いDeusExという作品で美しいマップレイアウトを実現するのは難しい事だったのかもしれません。

 その単調な印象をさらに深めてしまう結果となったもうひとつの要素に、人物のモデリングと動きがあります。みんな同じに見える顔と、まるでとってつけたような動きが人物の性格付けを曖昧にし、その人物がそこにいるんだ!という感触が感じられないということが世界観を軽薄にしてしまっているのでしょう。

 戦闘という点でもそれは当てはまり、はるか遠くから狙撃して仕損じた場合は普通どこから狙撃されたかわからないはずなのに、すぐさまこちらを向いて銃を乱射してきます。撃たれた敵の周りの敵もいきなり「奴だ!」とか言ってこちらに突撃してきます。Thiefではまず驚いてからその辺で索敵をはじめるというリアルな動きをしてくれるだけに実に不自然です。DeusExのAIはメタルギアソリッドほど悪くはありませんが、あまり言い出来とは思えませんでした。

 それでも潜入するスリルはすばらしいもので、このゲームはぜひ「最小限の火力による制圧」に挑戦してほしい。ほとんどのマップでは殺さずに目的を達成できるようになっており、どうしても排除しなければならない敵は気絶させることで殺しを回避できます。(イベントによっては殺しすぎを怒られることもあり、後々のコメントも変わったりしてなかなかたのしいです)

敵味方問わずに死体からはアイテムが得られることが多い
 
 このゲームは主人公キャラの能力をプレイヤー好みに成長させられ、それで攻略法が変わってきます。成長させられるスキルは攻撃系からテクノロジー系まで様々で、それは必ずしも攻撃系は攻撃のみ、テクノロジー系はハッキングのみというわけではありません。

 ライフルの能力を高めると銃撃戦が強くなるだけでなく、遠距離からスナイパーライフルで敵の基地にあるアラームや監視カメラを壊すことができ、気づかれないように進入が可能になります。また、ハッキングの能力もガンカメラの標的を敵に設定しなおすことにより、敵を自らのセキュリティシステムで倒すことができるようになります。どのようなスキルを高めていても場面に合った活用方法が見出せれば高い効果が得られるようになっています。

それゆえ、中盤あたりになると「本当にこの選択が正しいのだろうか?」という疑問が常について回るようになってしまいます。たとえば敵の詰め所に爆弾を投げ込み、敵をまとめて木っ端微塵にして安全を確保した場合、「敵が近道の鍵を持っていたのではないのだろうか?」 「この弾薬はこの後にもっと重要かつ有効な使い道があったのではないだろうか?」と考えてしまいます。
 一応自由度が高いということで、鍵が取れなかった場合も弾薬がない場合もフォローがありますが、体力や弾薬を無限に供給する当てがないことから最後までストレスがたまる人もいるかもしれません。

(8月14日)





強力なBotもTNT爆弾をうまく使えば安全に倒せる
 スキルに無関係な戦法をとることができることもゲームをおもしろくしています。Botという戦闘機械は非常に強力で、ロケットランチャーか手榴弾がないと倒すのは難しいのですが、それらがない場合もTNTの箱や火薬の入ったドラム缶が近くにある場合にはそれらを運ぶか敵をおびき寄せるかして、箱やドラム缶に発砲すれば爆発がおきてBotを倒すことができます。爆発物をうまく設置すれば一発で次々と爆発を起こして殲滅させることも可能です。当然それは敵にも同じことが言えるので、爆発の可能性のあるものの後ろに隠れていたりすると一気に木っ端微塵になるので注意が必要。


 このゲームもSoundBlasterにバンドルされるだけあって、EAXなどの3Dサウンドハードウェアアクセラレーションに対応しています。ドルビーサラウンドにも対応しているので臨場感あるサウンドで潜入ミッションを楽しむことができます。ダイナミックな3Dサウンドではありませんが、非常に高品質なのでこれも3Dサウンドカードと4スピーカーで楽しんでほしいゲームです。

 BGMもいいものが多いので私もネット閲覧などをしている最中にもMODPlugプレイヤーなどでよく聞いているほどです。DeusExのBGMを担当したのはUnrealのBGMも手がけた人だそうです。


 他の3Dゲームと違ってアクションの要素は少なく、それもさらに避けることができるのでアクションは苦手だという人も安心です。敵に見つかったときはすばやい反応が要求されますが、普通に立っているのに敵がどこからか現れて襲われるということはないので落ち着いて休み休みプレイできます。

(8月15日)




■ ちょっと使える(かもしれない)小技 ■

気絶は、他の敵に気づかれずにできればもっともリスクの少ない排除方法となる
重火器装備中の移動法

 重火器のスキルが低いときは移動速度が遅くなってしまうが、しゃがんだ時の速度は落ちない。しゃがみ平行移動時もそうだ。さらにSPEED ENHANCEMENTのAugも有効となる。Heavyのスキルが0のときに重火器を装備しているときにはとても有効なので試してみてほしい。

近接武器の攻撃力

 近接武器(Low-Tech)の武器で気絶させようと後ろから殴っても気絶させられないことがある。逆にしゃがんだまま殴っても気絶させられる場合もある。Low-techのスキルが高いとしゃがんだままでも気絶させることができる。最高だとMJ12コマンドーでも気絶させることができる。

 スキルレベルが同じでも攻撃力に差が出ることがある。この近接攻撃の攻撃力を決定しているのが攻撃の位置と距離と思われる。位置はあまりシビアな判定ではないらしく、立っている状態で腰より上をたたけばOK。距離というのは手の届く距離で殴るより密着した状態で殴ったほうが攻撃力は高い。

密着のコツ

 しゃがみ歩きでも敵の歩くスピードより速い。これで近づけば気づかれずに接近は可能なのだが、しゃがんだまま警棒で気絶させるとなるとLow-techレベルが最大まで上げることが必要になる。ということで攻撃の瞬間に立つ必要があるのだが、足音が怖い。
そんなときはしゃがんだまま密着して(前進しているまま)立ち上がろう。立ち上がった後一秒くらいは足音がならないで気づかれないのだ。一秒あれば殴るのは余裕だろう。

初心者ベテランスナイパー

 Rifleのスキル0でも結構精密な狙撃ができる。まずは通常モードでねらい、狙ったらスコープボタンを押して0.5〜1.0秒以内に修正と狙撃を完了する。こうすれば結構あたる。途中手に入る武器改造MODをいくつか適用してやればもっとよくあたるようになる。カメラは壊せないけど十分強い。

トレーニングで遊ぶ

 トレーニングでは途中で武器を取られてしまうが、投げるボタン(デフォルトではたしかTABキー)で投げて回収コメント後に回収するようにすれば持ち越すことができる。回収コメント後でももたもたしてるととられるので注意。ちなみに、ステルストレーニングで出てくる人を殺すことはできない。でも倒れている人にとどめをさすことはできる。

(8月16日)
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